リベラルアーツ教育

なぜマインクラフトが教育に!?その秘密は生きる力とアクティブラーニング!

この記事でわかること

近頃、教育系のメディアを見ると、マインクラフトというゲームの名前が出てくるのに気づいておられる方は多いのではないでしょうか。

とはいえ、「子どもたちの間で人気があるゲームが教育に使えそうらしい」ということを知ってはいても、どんなふうに使えるのか、どんな効果があるのか、と疑問が浮かぶでしょう。

今回はその疑問を解くべく、オンライン家庭教師「まなぶてらす」のマインクラフトイベントチームの代表にインタビューしてきたので、ここにまとめていきます。

この記事を読むと教育現場におけるマインクラフトの魅力をより深く知ることができます。最後にはまなぶてらすが主催した会員向けマイクラ公開サーバーの結果動画もお見せします。

こんな先生に取材しました
  • まなぶてらすのプログラミングとロボットの先生
  • ミッションはできるだけ多くの子どもにIT教育の機会を提供すること!
  • プログラミングスクール・ハッカソン運営や公立学校への出前授業も行う

そもそもマインクラフトとは?

マインクラフト(通称マイクラ)は2011年に一般公開されたスウェーデン発のゲームです。世界には2021年8月の時点で1億4千万人の利用者がおり、日本では割と最近になってからYouTubeなどの影響で人気に火が付きました。

参考:Number of monthly active players of Minecraft worldwide as of August 2021 – Statista

マインクラフトはどんな年齢層でもワクワクできる、とてもクリエイティブな3Dゲームです。

マインクラフトの世界はブロックでできています。そのブロックを壊したり、積み上げたり、加工したりして、自分だけのオリジナルな世界を作っていきます。最終ゴールはありますが、それを達成することはあまり重視されていません。

だからこそ、プレイヤーがゲームを楽しむ方法は無限大です。材料を発見してクラフトツールを作り、好きなものを建築したり、鉱山を掘り進むこともできます。

武器を作って敵と戦ったり、ゲーム上の物理化学を使ってシステムを作ったり、海上を思うままに探検したり、動物と仲良くなったり、と「○○すべき」というルールは一切ありません。

ローカルでもオンラインでもマルチプレイができるので、友達や家族と一緒にプレイできるのも大きな要素です。

教育現場でのマイクラ活用例

実際にマインクラフトを授業内で使い始めている学校があります。どのように活用しているのでしょうか?

中学入試

マインクラフトが中学入試に使われているところもあります。

2021年の2月に行われた入試の課題は、制限時間内にマインクラフト内で打ち上げ花火のショーをデザインし、終了後にインタビューと作文に取り組む、というものでした。

単に花火を打ち上げるだけでなく、花火の構成や、観客の立場になってどこから見るのがきれいか、など、できる限りの工夫を凝らします。

正解が一つではない問題に向き合う子供たちの創造力が試されています。

参考:中学入試にマインクラフトを採用!聖徳学園中学・高等学校が考えるプログラミング入試の意義とは – Impress Watch

総合的な学習

学校の授業内でも、総合的な学習でのSDGs、観光地紹介、学校見学といった課題に取り組む道具として使われています。

例えば、植物を実際に現実世界で植えて育てることを体験します。そして、その植物を加工して販売する過程はマインクラフト内で作業します。それぞれの過程でどんな風に人々が仕事をしているのか、どうすればその労働環境が良くなるかまで考えることができます。

子どもたち同士のコミュニケーションのが自然に発生し、活性化します。

参考:マイクラ×総合的な学習の時間で、社会が「自分事」になる学びへ – Impress Watch

プログラミング教育

プログラミングの初めの一歩として総務省からも推奨されており、実際に使う学校も増えています。

マインクラフトのコマンド機能を使って、プログラミングの基礎に触れていきます。コマンド機能では、キーボードを使ってマインクラフトにしてほしい操作を入力していきます。

キーボードに慣れていない子供たちも集中力を落とすことなく、普通の文字入力では使わない記号などにも真剣に取り組んでいる姿が印象的です。

参考:教育版マインクラフトを活用したプログラミング的思考学習の推進 – 総務省
参考:茨城県鹿嶋市、公立小学校で「マインクラフト」を活用したプログラミングの授業を実施 – Impress Watch

教育版マインクラフトで5教科を学習

Education版(教育版)のマインクラフトでは500以上の科目教科的なレッスンが用意されています。プログラミングや総合的な学習に使えるものはもちろんですが、メインの教科の学習にも役に立つようなレッスンもあります。

例えば、自分で元素を作ることができたり、ストーリーライティングが学べたり、数学の立体の感覚をつかめたりします。

これからは、マインクラフトの世界で実際に体験しながら必修科目の学習をしていくことも増えるでしょう。

参考:Mincraft Education Edition – Mincraft

マインクラフトの何がイイの?

マインクラフトの効果にはいろいろあると言われていますが、一言で言うとマインクラフトは「生きる力」を養成できます。

ご存じの通り、2020年に学習指導要領が改訂されました。特に大きな変化であった、ICT教育やプログラミング教育、小学校の外国語教育などが注目されていますが、その目的は子どもたちの「生きる力」を育むためです。

学習指導要領では「生きる力」が下記のように定義されています。

基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力である

引用:小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編 – 文部科学省

私たちが今住む世界はグローバル化、IT化がものすごいスピードで進んでいるので、社会の仕組みが瞬く間に変わっていきます。

少し前までは社会人になってから身に着ければよかった「自ら考えて行動するスキル」や「計画性」が、今では学校を卒業した時点で備わっていることを求められます。また、よりユニークな自分の強みがあることが重視されます。

子どもたちには、その中で生きていくための力が必要です。それが「生きる力」です。

この「生きる力」を育むための方法として、今回の学習指導要領は、主体的に、また力を合わせてその学びを深くするアクティブラーニングを重視した授業にするよう改善されました。

その道具の一つがマインクラフトです。マインクラフトではその活動の中で、「自然と」生きる力を発揮し、「自然と」アクティブラーニングが起こるという特徴があります。

具体的にどういうことか、もう少し深く掘り下げてみましょう。

参考:2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート! – 政府広報オンライン
参考:平成29・30・31年改訂学習指導要領の趣旨・内容を分かりやすく紹介 – 文部科学省

子どもが主体的に取り組む

マインクラフトにはチュートリアル(ゲームの最初にやり方を教えてくれるコーナー)がありません。一人で何も知らない状態でマインクラフトの世界に入ると、何をしていいかわかりません。

でも、友達も遊んでいます、YouTubeでもスゴイ建築物や装置や世界を見ます。楽しそうです。やりたくなります。

そうすると、自分でどうするか調べたり、友達に聞いたりし始めます。

これがまさに、自分で学びを取りに行っている状態です。

自ら考えて動き、想像性、計画性、協調性などの目に見えない能力、今まで学校で数値化できずに評価されにくかった部分を伸ばす第一歩です。

自分のオリジナリティが出せる

マインクラフトの中では、同じ課題に取り組んで解決策が同じだったとしても、必ずオリジナリティが出てきます

最初はYouTubeや攻略本のマネをしているだけかもしれませんが、そのうち、これとこれを組み合わせたら面白そう、という発想が生まれます。

子どもたちはマインクラフト内での表現活動を通して、自分の中にあるふわふわした想像性を形にできるようになります。

アクティブラーニングにつながる

子どもたちは、自分の技術や作品を誰かに教えたくなります。その過程で主体的にしゃべるようになり、積極的な教えあいに発展し、プレゼンテーションスキルもつきます。

先述の活動例でも、子どもたちが積極的に意見を交わしながら作品を仕上げ、こだわりポイントを嬉々としてプレゼンテーションする姿が印象的です。

そして、相手が自分の考えや作品を積極的に聞いてくれた場合、達成感が得られます。

他の人と違うコトをしたことに達成感が返ってくるので、自分だけの強みに自信を持って他のこともどんどんやりたくなるという、良い循環が生まれます。

また、ある程度のスキルを持つと、近くにいる初心者に教え始めます。そこにも自然なティーチングスキルのステップアップが見られます。これは社会人になってとっても役に立つヒューマンスキルです。

マインクラフトは単なる遊びのはずなのに、教えあい、学びあいのフィールド、アクティブラーニングのフィールドになっていくのです。

パソコン操作に慣れる

これからの時代、パソコンに苦手感を持っていると非常に苦労します。パソコン操作に慣れるためにも、マインクラフトをコントローラーではなく、パソコンで遊んでみることをおすすめします。

マインクラフトをキーボードとマウスで操作できると、人差し指だけでキーボードを打ったり、キーボードに置く手のポジショニングで心が折れたりすることなく、自然な形でパソコン操作に慣れていきます。

そして、いつの間にか、クリック、ドラッグ、コマンドなどのパソコン操作用語を覚えるようになります。自分の作品やプレイを見てほしさにYouTubeを開設したり、動画編集ができるまでになる子もいます。

アルファベットを覚え、英単語も覚える

パソコンでマインクラフトをすると、キーボードでほしいキーを探す必要があります。そのうち自然にアルファベットも覚えていきます。

その後も研究熱心な子どもたちは、他のキーでの操作をしたくなったり、コマンドと呼ばれるものを打ち込みたくなってきます。コマンドは英語ですから、知らぬ間に英単語を覚えているようなものです。その単語が持つ意味も感覚的に覚えることもできます。

ゲームとしてのマインクラフトと教育の相性

ゲームか勉強?さて、インターネットで「ゲーム 教育」と検索しようとすると「教育に悪い」という検索候補が出てきます。

「ゲーム」と聞くそばから、

  • 人生に必要ないもの
  • 学びと対照的なもの
  • コントローラーを持って子どもが暇つぶしに遊ぶもの

という固定概念が沸いてくるのでしょう。

これはゲームが時間を浪費する危険性が非常に高いことや、実体験との比較などから生まれるのかもしれません。

本当にゲームが教育の邪魔をするのか?

教育現場には圧倒的に時間が足りません。ゲームに怪訝な目を向ける教育者や保護者がいるのもわかります。

ではそもそも、なぜ教育現場に時間がないのでしょうか?そのヒントは「教え方」にあるのかもしれません。今まで教育現場は知識の足し算的な教え方をしてきました。

例えば歴史なら、日本史も世界史も人類の始まりから現代の時事まで全て教えていきます。歴史は日々増えていきますし、すべてを網羅しようと思うと当たり前のように時間は足りなくなります。

その方法を変えていかなければいけない、としているのが教育改革です。だからこそ、ICT教育や進度調整、デジタルテキストの採用などを進めています。

時間の問題ではなく、「教え方」そのものを変えていこう。そのためにはゲームもどんどん使っていこう。そんな動きになっているのです。

ゲームか勉強か、ではありません。ゲームも使い方次第で教育と協働できるのです。

ゲームよりも実体験を大切にすべき?

当たり前ですが、マインクラフトの世界は私たちが実際に生きている世界と同じではありません。食べ物を得るために動物を殺しても血は流れませんし、小麦を植えたら次の日には生えてきます。

こういったある種の「ゆがみ」を見ると「やっぱりどうせゲームじゃないか、実体験や具体的な説明の方が優位だ」と言われることもあります。

しかし、すべての学校で一定の土地を持って生徒に農作物の作業体験をさせ、そのまま加工作業まですることが可能でしょうか?

子どもに小麦の土壌作りから灌漑の方法、種もみをしてそれを植え、管理して収穫し、脱穀する、それから加工していくという話をしたところで、興味を持って聞いてくれるでしょうか?

答えはノーです。

ゲームにも「体験」はある

一方、マインクラフトの中で、地を耕して水場を設け、種を植えて収穫し、収穫したものを使って食べ物を作り、村人に食べさせて効果を得る、という「体験」をした子どもたちは、この「体験」から学んでいます。

遊びの中に気づきを見つけて、それを自分の物にしています。忘れることはありません。

マインクラフトでは小麦を使ってパンを作ることができますが、実際にパンを作るときはどんな材料を使ってどれほど時間が掛かるのかを自分で調べ始める子もいます。

教科横断的で深い学びです。自分で興味を持ったものですから吸収力もなかなかのものです。そして、それを大人に教えてくれます。

つまり、マインクラフトの中で社会生活のエッセンスを体験し、そこから自分たちで好奇心を高めて自学習をし、そしてアクティブラーニングまで進めることができるのです。

周りの大人のサポートが大切

大人がゲームと教育は対極だと思ったままでいると、マインクラフトの真の力が発揮できないかもしれません。

とりあえず道具を与えて遊ばせておくことで満足したり、「まだゲームやってるの?」と言いたくなったりしてしまうからです。それでは、マインクラフトの真の力が発揮できません。

マインクラフトを有効活用する大切な声かけ

マインクラフトで遊んでいる子どもに向かって大人ができる大切な声かけがあります。

それは「それどうなってるの?」「それやり方教えて?」です。

ここから、ゲームと学びの境がない状態になります。

子どもたちは「こうなってるんだよ!」と、目を輝かせながら教えてくれたり、自慢げに自分が作ったオリジナリティを説明しだしたりするでしょう。

しかも、彼らなりにできるだけ優しく、段階を踏んで教えようとしてくれます。こちらが「わからない」というと、相手にわかってもらうために、自分自身の思考を組みなおすような作業も始めます。

このアクティブな状態がとても大切です。

周りの大人もぜひ子どもたちと一緒に触ってみることをオススメします。事前知識は必要ありません。子どもに教えてもらってください。親子の楽しいコミュニケーション手段にもなりますよ。

「まなぶてらす」がマインクラフトサーバーを公開!

マインクラフトまなぶてらすサーバー内の様子まなぶてらす会員の「マインクラフトを活用したいけど、学校でまだ取り入れていない、なかなか安心して一緒に遊べる仲間がいない…」のために「まなぶてらす」がマインクラフトサーバーを公開しました。

(2022年5月7日(土)から8月8日(月)に実施し、現在は終了しています。)

なぜオンライン家庭教師サービスでマインクラフト?

「まなぶてらす」は基本的に先生と生徒が1対1でレッスンを行う場所です。

ですが、「ネットで自習室」や季節ごとのイベント、発表会など、人が集まって何かをすることができる場所でもあります。

「まなぶてらす」なら、マインクラフトでも何か新しい面白いことが起きるのではないか?と思い、マインクラフトサーバーを公開することになりました。

今回、マイクライベントチームでは特に3つの効果を期待しています。

効果 1. 自然にコミュニケーションが起こる

生徒や先生の今までにないコミュニケーションが自然に起こる場所になってほしいと考えています。

生徒と先生の新しい出会いもあるかもしれませんし、生徒同士のコミュニケーションが見えても面白いのではないでしょうか。

効果 2. 保護者がマインクラフトにトライするきっかけに

大人が新しいことに挑戦するのは勇気がいりますが、マインクラフトに安心感を持って始められる空間になることを期待しています。

保護者と生徒の間のコミュニケーション手段が一つ増えるのは大きいですよ。

効果 3. 制限の中で生まれる達成感を味わって欲しい

今回のイベントは期間を区切って行います。

期間を区切られたり、条件を縛られることが嫌いな子供たちも、マインクラフトの中で時間や材料などの制限がある状態の中で作業をする場合にはそれが良い燃料になります。

子どもたちがその中で自分の計画性ややる気を試しながら、目標を持って作業をしてほしいと願っています。

イベント詳細(現在終了しています)

イベント第1弾 エッグハンター大会

まなぶてらすの公開サーバーがオープンすることを記念して、イベントを開催します。

日付:2022年5月4日(水、祝日)※日本時間
時間:14時から1時間、うちゲーム時間30分
内容:エッグハント

みんなでZoomでつながりながら、30分の制限時間内に散らばった大小さまざまな卵をどれだけ多く集められるかを競います。
卵をたくさん集めた方にはまなぶてらすから素敵なグッズがプレゼントされますよ!

イベント第2弾 まなてらタウン街づくりプロジェクト

その後、週末にサーバーをオープンし、みんなでまなてらタウンの街を作ります。

日付:2022年5月7日(土)から8月8日(月) ※日本時間
時間:毎週土、日、月曜日の0時から24時
内容:まなてらタウン街づくり

期間中は自分の好きな時間にまなぶてらすのマインクラフトサーバーに入ることができます。自分たちの手でまなぶてらすの街を発展させていきましょう。

まなてらタウンにはどんなものがあると面白い、楽しい、便利でしょうか?その裏にはどんなストーリーがありますか?ぜひ自由に考えてください。

素敵な街ができるのを楽しみにしています。

保護者のみなさんはお子さんの作業風景を見ながら、「それどうなってるの?」の声かけをお忘れなく!

イベントの結果

まなてらタウン街づくりプロジェクトの経過はぜひこちらのYouTubeをご覧ください。

 

子どもたちの作品は圧巻で、何を見てもすごい!を連発しているマイクライベントチームでありました。

「まなぶてらす」のマインクラフトイベントを総括した、以下の記事も参考にしてみてください。

【マイクラ】まなぶてらすの公開サーバーの成果報告【可能性は無限大】
【マイクラ】まなぶてらすの公開サーバーの成果報告【可能性は無限大】オンライン家庭教師の「まなぶてらす」が3か月間、会員限定でマインクラフトのサーバーを公開しました。どんな成果があったか、ぜひご覧ください。...
「まなぶてらす」はこれからも季節ごとのイベント、発表会など、人が集まって何かをすることができる場所を自由に提供していきます。ぜひ会員登録をしてこれからのまなぶてらすにご注目ください。

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まとめ

今回お話しを伺ったイベント代表は、マインクラフトをはじめてすぐに「ただのゲームじゃないな!とわかった」と言います。

塾や学校にフィットしない子でも、マインクラフトを触るとすばらしい建築を作って積極的にコミュニケーションをしようとしてくれることもあるといいます。彼らの好奇心が刺激され、それが表に出てくるのを見るのは嬉しいことです。

今まで学校で評価されづらかった、数値化できない部分を思いっきり発揮できる場所。マインクラフトはこれから、その身近な一例になります。

百聞は一見にしかず、です。ぜひ、大人のみなさんも勇気を出してマインクラフトにトライしてみてください。