宿題を始めても5分で別のことを始めてしまう」「消しゴムで遊び出す」「何度声をかけても机に戻らない」

ADHDのあるお子さんの「集中力」に悩む保護者は非常に多いです。Yahoo知恵袋やママスタなどのQ&Aサイトでも、「ADHD 宿題 できない」「ADHD 集中できない 勉強」は常にトップクラスの相談テーマです。

しかし、ADHDのお子さんが集中できないのは、「やる気がない」からではありません。脳の特性上、注意をコントロールする仕組みが他の子と異なるだけです。

この記事では、ADHDの脳の特性をふまえた上で、家庭でできる7つの具体的な環境づくりをお伝えします。

ADHDの子どもはなぜ集中できないのか?脳の「退屈への弱さ」を理解しよう

ADHDの脳は、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きのバランスが崩れている状態と考えられています。

定型発達の子どもは、「やらなければいけない」という意識だけでもある程度集中を維持できます。しかし、ADHDの子どもの脳は「面白い」「楽しい」「新しい」と感じないと集中のスイッチが入りにくい構造になっていることがあります。

つまり、集中できないのは怠けているのではなく、脳が「報酬」を必要としていると考えられています。これはADHDの困り感が出やすい「報酬系」の特性の一つです。この特性を理解した上で環境を整えれば、驚くほど集中力が発揮されることがあります。

好きなゲームには何時間でも集中できるのに、宿題には5分も持たない——この現象も、脳の報酬系の働きの違いが一因と考えられています。ゲームは「即座に報酬(達成感)が得られる」設計になっているからです。

家庭でできる7つの工夫とは?

ADHDの脳の特性を逆手に取った、「集中しやすくなる環境」の作り方です。

この記事で紹介する7つの工夫は、ADHDのお子さんに限った話ではありません。集中力に悩むすべてのお子さんに有効な方法です。「うちの子はADHDではないけど、集中力がなくて困っている」という保護者の方にも、ぜひ参考にしていただけたらと思います。なお、ADHDには「不注意型」と「多動・衝動型」があり、お子さんによって特性の現れ方は異なります。この記事の内容がすべてのお子さんにそのまま当てはまるわけではありませんので、お子さんの様子を見ながら取り入れてみてください。

工夫1:視界から「気が散るもの」を徹底的に排除する

ADHDの子どもは、視界に入ったものに反射的に注意が向いてしまう特性があります。

具体的にやること:

  • 勉強机の上には今使う教材1つだけを置く
  • おもちゃ、マンガ、ゲーム機は別の部屋か箱の中
  • スマホは電源を切って視界の外に
  • 窓の外が気になるならカーテンを閉める
  • 兄弟がテレビを見ている部屋では勉強させない

「片付けなさい」と言うのではなく、最初から気が散る要素がない環境を用意するのが親の役割です。

工夫2:「何を・どこまで・どのくらいの時間で」を明確にする

ADHDの子どもはゴールが見えないと不安になり、取りかかれないことがあります。

具体的にやること:

  • 「勉強しなさい」ではなく「この3問を10分でやろう」と具体的に伝える
  • タイマーを使って残り時間を見える化する
  • やるべきことを紙に書き出して1つずつ消していく
  • 全体の量を見せず、1ページずつ渡す

「あと何分で終わる」「あと何問で終わる」がわかると、ADHDの子どもは格段に取り組みやすくなります。

工夫3:15分×3セットの「分割学習」にする

ADHDの子どもにとって、45分間の連続学習は非常に困難なことが多いです。短い時間に区切って、間に休憩を挟む方が圧倒的に効率的です。

おすすめの時間配分:

  • 小学校低学年:10分勉強 → 5分休憩 → 10分勉強
  • 小学校高学年:15分勉強 → 5分休憩 → 15分勉強
  • 中学生:20分勉強 → 5分休憩 → 20分勉強

休憩時間は「好きなことをしていい時間」にすると、次の学習への切り替えがスムーズになります。

工夫4:「ご褒美システム」を取り入れる

ADHDの脳が求めている「報酬」を、学習の中に意図的に組み込みます

具体的にやること:

  • 3問正解したらシールを1枚貼る(台紙を用意して集める)
  • シールが10枚たまったら小さなご褒美(おやつ、ゲーム15分など)
  • 「全部できたらすごい!」ではなく、「1問ずつ」褒める
  • 結果ではなく「取り組んだこと」自体を褒める

大人から見ると「そんなことで?」と思うかもしれませんが、ADHDの脳にとっては、この小さな報酬が集中を持続させるエンジンになります。

工夫5:「体を動かしてから」勉強する

ADHDの子どもはじっとしていること自体がストレスです。勉強前に体を動かすことで、脳が活性化し、集中しやすくなります。

おすすめの「勉強前ルーティン」:

  • 5分間のジャンプ、ストレッチ、ダンス
  • 散歩に行ってから勉強する
  • 勉強中もバランスボールに座るのを許可する
  • 足元に足踏みボードを置く

「じっと座って勉強しなさい」ではなく、「動いてもいい」環境を許容することが、逆に集中につながります。

工夫6:「得意」から始めて勢いをつける

ADHDの子どもは最初の一歩が最も難しいです。苦手な科目からスタートすると、取りかかる前に挫折してしまいます。

具体的にやること:

  • まず得意な科目や簡単な問題から始める
  • 「できた!」の感覚を得てから、苦手な課題に移る
  • 苦手な科目は最後か、間に挟む

「難しいものから片付けなさい」は、ADHDの子どもには通用しません。「簡単なもの→難しいもの→簡単なもの」のサンドイッチ方式が効果的です。

工夫7:「マンツーマンの先生」という最強の環境を作る

ここまでの6つの工夫は家庭で実践できますが、最も効果的なのは「目の前に先生がいる」という環境を作ることです。

ADHDの子どもが集中できない最大の理由は「監督者がいない」ことです。マンツーマンの先生が画面越しに常に声をかけてくれる環境では、「見てもらっている」という意識が集中を維持させます。

さらに、先生が即座にフィードバック(「すごい!合ってるよ!」)を返してくれることで、ADHDの脳が求める「報酬」がリアルタイムで供給されます。

ADHDの子どもに合う「良い先生」の特徴とは?

ADHDのあるお子さんの学習指導には、通常の指導力に加えて特別な配慮が必要です。

ADHDの子どもに合う先生の特徴:

  • 叱らない:集中が切れても「はい、戻ろうか」と穏やかに声をかけてくれる
  • こまめに褒める:小さな進歩を見逃さず、すぐにフィードバックをくれる
  • 柔軟に対応できる:予定通りに進まなくても、臨機応変にレッスン内容を調整できる
  • 指示が明確:「ちゃんとやりなさい」ではなく「この問題の答えをここに書いて」と具体的
  • 発達障害(神経発達症)への知識がある:特性を「わがまま」「怠け」と捉えず、脳の仕組みとして理解している

宿題バトルを終わらせるにはどうすればいい?

多くの保護者が最も苦しんでいるのが「毎日の宿題」です。

宿題がうまくいかないパターンと対策

よくあるパターン 対策
宿題を始めるまでに1時間以上かかる 帰宅後のルーティンを決める(おやつ→5分休憩→宿題)。「いつやるか」を毎日決めさせない
途中で席を立ってしまう 「3問解いたら1分休憩OK」と小刻みに区切る。完全に座らせ続けることを目指さない
ケアレスミスが多い 「見直し」を強制せず、先生に見直しの仕方を教えてもらう。チェックリストを使う
「やりたくない」と泣き出す 無理にやらせない。学校の先生に量の調整を相談する。まずは1問だけでOK
親が教えようとするとケンカになる 親は「教える人」を卒業する。オンラインの先生に宿題サポートを任せる

重要:ADHDのお子さんの宿題について悩んでいる場合は、担任の先生に宿題の量の調整を相談することも大切です。合理的配慮として、宿題の量や内容を個別に調整してもらえるケースもあります。

発達障害サポートのおすすめ講師

まなぶてらすには、ADHDをはじめとする発達特性のあるお子さまへの指導経験が豊富な講師が在籍しています。


しょーこ先生

しょーこ 先生

メンタルヘルス心理士・子ども発達障がいインストラクター。芝浦工業大学卒の理系講師で、算数・数学・理科を「楽しく、考える力を育てる」スタイルで指導。ADHD・ASD・LDのお子さんの指導経験多数。年間1,300回以上のレッスン実績。

口コミ:「ADHDの息子は集中が続かず塾では対応してもらえませんでした。しょーこ先生は息子のペースに合わせて楽しく教えてくれるので、算数が好きになりました。」

プロフィールを見る


さき先生

さき 先生

元小学校教諭(6年間)。インクルーシブ教育を専門とし、発達障害・学習障害・不登校のお子さんに特化した指導を行う。教育相談窓口として保護者相談にも対応。小学校全科・中学校5教科に対応。

口コミ:「発達障害のある娘にとって、さき先生は学校の担任以上に頼れる存在です。勉強だけでなく、学校生活の悩みも一緒に考えてくれます。」

プロフィールを見る


Hara先生

Hara 先生

海外在住の個別指導のプロ。発達障害のあるお子さんを含む幅広い生徒の指導経験を持つ。趣味のアクアテラリウムや生物の知識を授業に取り入れ、お子さんの興味を引き出す独自のスタイルが特長。年間950回以上のレッスン実績。

口コミ:「勉強嫌いだった息子が、Hara先生の授業だけは楽しみにしています。生き物の話から理科に興味を持つようになり、成績も上がりました。」

プロフィールを見る


まほ先生

まほ 先生

元小学校教師(5年間)・発達障害の生徒13名の指導経験。マレーシア在住。全学年の担任を経験し、一人ひとりの特性に合わせた「寄り添う指導」が強み。漢検・作文・小論文にも対応。

口コミ:「ADHDの娘に根気強く付き合ってくれます。『できた!』を一緒に喜んでくれる先生に出会えて、娘の勉強への姿勢が変わりました。」

プロフィールを見る

発達障害サポートの詳細を見る »

よくある質問

Q. ADHDの子どもでもオンラインレッスンに集中できますか?

はい、マンツーマンのオンラインレッスンはADHDの子どもに向いています。先生が常に語りかけ、即座にフィードバックを返す環境は、ADHDの脳が求める「報酬」を提供し続けるためです。集団授業よりもむしろ集中しやすいケースが多くあります。

Q. 薬を服用していますが、レッスンに影響はありますか?

服薬の有無はレッスンに影響しません。服薬のタイミングに合わせてレッスン時間を設定することで、より効果的に学習できることもあります。服薬状況を講師に事前にお伝えいただければ、配慮した指導が可能です。

Q. 宿題のサポートだけでもお願いできますか?

はい、可能です。学校の宿題を一緒に進めるレッスンとして利用されている方もいらっしゃいます。毎日の宿題バトルから解放される、という保護者の声は非常に多いです。

Q. ADHDの診断が出ていませんが利用できますか?

もちろんです。「集中力が続かない」「勉強に取りかかれない」というお悩みがあれば、診断の有無に関係なくご利用いただけます。

まとめ

この記事のポイント:

  • ADHDの子どもが集中できないのは「やる気がない」からではなく、脳の報酬系の特性
  • 環境づくりの7つの工夫:気が散るものを排除 / ゴールを明確に / 分割学習 / ご褒美システム / 体を動かす / 得意から始める / マンツーマンの先生
  • 「じっと座らせる」ことを目指さない。動いてもいい環境を許容する
  • 宿題バトルは「親が教えない」ことで解決できるケースが多い
  • マンツーマンのオンライン指導は、ADHDの脳が求める「報酬」をリアルタイムで供給できる最適な環境

ADHDのあるお子さんの勉強は、正しい環境を整えれば大きく変わります。まずはお子さんに合った先生を見つけることから始めてみてください。

発達障害サポートの詳細を見る »

関連記事

参考文献

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。

▶ まなぶてらす公式サイト

この記事の監修者

るか

るか先生(伊藤 陽香)

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士(10年目)・公認心理師(第1回国家試験合格)。スクールカウンセラーとして小中高19校で勤務し、発達障害・不登校の児童生徒へのカウンセリングや保護者相談を多数実施。精神科病院での心理検査、放課後等デイサービスでの個別療育の経験も持つ。愛知淑徳大学大学院心理学研究科修了。

▶ プロフィール詳細を見る

ABOUT ME
オンライン家庭教師「まなぶてらす」
単発・短期から受講できる 小・中・高校生のためのオンライン個別指導サービス。授業はすべて対面式のマンツーマン。<指導科目> 5教科、中学受験、高校受験、大学受験、そろばん、プログラミング、英会話、理科実験、ピアノ、将棋、作文など。まなぶてらす