講師ブログ

子どもが自分で勉強するようになる方法

まなぶてらす数学講師 いのうえです。

私事で恐縮ですが、この度の大学入試で娘が無事志望校に合格しました。

娘が合格出来た理由は『本人が自分で勉強するようになったから』に尽きます。

わが家の個別な事例ですので他のご家庭の参考にならないかもしれませんが、子どもが自分で勉強するようになった一例として読んでいただければ幸いです。

娘の学校は中高一貫の私立女子校です。中学受験までは親が勉強を主導して娘はそれに従って特に嫌がることもなく勉強して志望校に無事合格しました。

中学入学後は、親としては中高一貫校で部活や学校行事をのびのびとやって生涯の友達を作ってくれたらいいと思っていましたので、勉強は人並みな成績を取ってくれれば良いと本人任せにしていました。本人任せでも人並みな成績は取るだろうと当たり前に思っていました。

しかし、中1の学期が進むにつれて成績が芳しくないことが続いて、中2になる頃には学年最下位が近づくようになり、このままだと高校進級が危うい状況になってきたので親が勉強に介入するようになったのですが、親の言う事に反発するばかりで一向に成績は上がらず、ただ家庭内の雰囲気が悪くなるばかりでした。そんな状況でもどうにか高校に進級出来て、当時は成績よりも家庭内の雰囲気が悪くなることの方が深刻でしたので、もう娘の成績は諦めて勉強には介入しないことにしました。

そんなこんなで高2になって大学進学調査の時期になったのですが、志望校について娘は分からないというばかりでした。それで話しをしていく中で「親が大学に行って欲しいから行くだけで自分が行きたい訳ではないから分からない」と考えていることが分かりました。

小学校から勉強は親のためにするものという考えが染みついて、中学でそれに疑問を持つようになって勉強しなくなりましたが、親のために勉強してあげるという考えはそのままで、親も落第して高校を卒業出来ないのは困ると思ってテスト前には勉強しろと言ってしまうので、大学受験を前にしても自分が自分のために勉強するという考えにならないのも当然でした。

しかし、高校より先については私も妻も本人がやりたいことをやって生きていってくれることが一番で、やりたいことがあるのであれば大学に行かなくてもよいと思っていて、やりたいことがまだないので将来に備えて大学に進学したいという場合も勉強を頑張らなくても入れる大学の学費を払うつもりは全くありませんでしたので、娘には

➀ 行きたい大学であればどこでもいい。
② やりたいことがあれば大学に行かなくてもいい。
③ 勉強しないなら大学は行かさない。

と話しました。

最初のうち娘は「そうは言っても本当は大学に行って欲しいんでしょ」という感じで真に受けていなかったのですが、同じことを繰り返し話して、三者面談で先生の前でも同じことを話しところで、親が本気で大学に行かなくていいと思ってることが分かったようで、その三者面談から程なくして「ここの大学のこの学部に行きたい」と娘が言ってきました。話を聞くと本人がやりたいと思っていることを学べるところで私も妻も大賛成でしたので、親はそこに合格するために必要なサポートは何でもするので、親にやって欲しいことがあれば娘が親に依頼するという形で『大学に行きたいのは娘、親はそれをサポートする立場』であることを明確にして、遅ればせながらわが家の入試準備が始まりました。

その日以降、娘は毎日机に向かって勉強するようになり人が変わったようでしたが、かといって入試までの限られた時間で効率的に勉強する計画を一人で立てられるはずもありませんので、そこは親が予備校の情報などをそっと提供して、娘がそれを見て「志望学部の対策専門クラスに通いたいので塾の費用を出してください」と依頼するなど娘から親に依頼する形をはっきりとさせながらサポートしました。

娘は帰国子女でテストの英文の意味は分かっているけど、それに対応する日本語が分からなかったり、文法がいい加減だったりして英語でしっかり得点出来ないことが課題だったのですが、それについても娘の依頼で私がまなぶてらすの先生を探しました。担当してくださった先生がすぐに娘の課題を把握して適切な対策を取ってくださったおかげで英語でしっかり得点できるようになり、それにつられて他の教科の成績も上がってきて最終的に戦える状態で入試に挑むことが出来ました。今回の娘の学年ほぼ最下位からの第1志望合格で、一つでも強い科目があれば何とかなるということを目の当たりにして、あらためて強みを伸ばすことの重要性を認識しました。

このような経緯で、娘の場合は「親は本気で大学に行かなくていいと思っている。自分が大学に行きたいと言わないと行かせてもらえない」と分かった時点で、大学入試が自分事になって自分で勉強するようになりました。

親が勉強しろと言えば子どもは「言われるからやる」「親のためにやってやる」という思考になるのは当然と言えば当然ですが、親としては売り言葉に買い言葉ではなく本当の意味で「嫌なら勉強しなくていい」と言うのはとてつもなく勇気のいることで、わが家の場合は私も妻も大学を必須と考えていなかったので「勉強しないなら大学に行かなくてよい」と言えましたが、高校までは出てもらわないと困るという気持ちがあって、そのようなことは言えず、娘の勉強を自分事にすることが出来ませんでしたので、大学必須とお考えのご家庭では取れない方法だと思います。

しかし、

子どもが自分で勉強するようになる

ということは

『学校で勉強したいのは子ども、親は勉強したい子どもをサポートする立場』という関係を子どもがはっきり認識することだと思いますので、大学に行かなくてもよいと言えない場合も何らかの方法でそれを子どもに分からせることが必要ではないかと思います。

最後に、今回娘は幸いにも良い方向に変わってくれましたが、その変化が上手くいったベースには高校のはじめに娘の成績を諦めて親子関係を悪くしなかったことがあったと思います。勉強のために親子関係を悪くして勉強のサポートが出来なくなってしまっては本末転倒ですし、勉強が理由で親子関係を悪くするのはいろんな面で損しかないと思います。あと、大学に行かなくてもよいと言う際には、逆に全く勉強もしないし働きもしない最悪の状況になることも想定しましたが、子どもには子どもの人生があって親は子どもが困ったときのセーフティーネットくらいの立ち位置でいるべきだと考えていますので、最悪になったらなったでサポートしようと思い切りました。親子のやり取りが諸刃の剣のようになることもありますが、最悪の場合も子どもの側に立つと覚悟することは一つの乗り越え方ではないかと思います。

以上、お読みいただきありがとうございました。少しでもお役に立つ箇所がありましたら嬉しく思います。

 

ABOUT ME
いのうえ
高知県出身。電機メーカー勤務を経て、2018年よりオンライン家庭教師をしています。数学が苦手な生徒さんと一緒に勉強するのが好きです。