まなぶてらす算数・数学・アート講師のYumiです。
ブログをお読み戴いて、いつもありがとうございます。
四つ目のブログは「小学校中学年で学ぶ算数の大切さ」についてのお話です。
お題は「『算数』にとって、とても大切な学年とは…」としました。
結論から言いますとそれは「小学4年生」です。
小4までの算数の習熟度が、その後の、中学生までの算数・数学の成績を決めていきます。
今回は私が英語スクールの数学講師をしていたときに出会った3人の生徒たちのお話をさせてください。
Mくん、Sくん、Mちゃんに出会ったのは、3人がそれぞれ場所の異なる公立中学校に入学して間もない5月でした。
3人は小学校低学年から仲良く英語スクールに通っていました。(その子たちの中には、私立中学受験を受けて残念ながら不合格になった子も含まれていました。)そしてそれぞれの公立中学校に入学して、入学後初の実力数学テスト、中間数学テストを体験して、3人が3人とも仲良く「一けた」の点をとり、そのもとに私が派遣され出会ったという流れです。
3人が、一けたの点が書かれた実力テストと、中間テストの答案用紙を持って数学レッスンに来てくださいました。テストの内容はほぼ小学4年生、5年生、6年生の内容と、ほんの少し、中間テストでは正の数・負の数が入っていました。
数学講師になってはじめて、一けたの点のついた答案用紙を6枚見させて戴いて、これからこの子達ひとりひとりをどのように助けることが出来るだろうかとしばらく考え込んだ事を、今でも鮮明に覚えています。
小学校に入学して、毎日新しいランドセル、新しい教科書をわくわくしながら見ている子供たちは、可愛くて、新鮮で、これからの小学校生活を、つまずくことなく、楽しく、気持ち良く送ってほしいと、親も周囲の大人も願うものです。
そして小学1年生を無事に終え、2年生を終了する頃、親や周囲の大人は、小学校って、こんなにむずかしい算数を、こんなに小さいときから習っていたのかしら?と、考え込むようになります。
そして同時期から宿題とテストに追われ始めて、早くも、つまずき感を感じ始める子供たちがちらほら出てきます。
そして小学3年生を終える頃、親や周囲の大人は、これまで何とか教えてあげることが出来ていた算数に、行き詰まりを思い始め、「これを説明するのはむずかしい」、「この問題自体、親の私が解くのはむずかしい、ましてや子供が理解できるように教えることは、もう無理!」と、思い始めます。
何がそう思わせるのでしょうか。
ひとつは、算数の内容量が4年生になると急に増えます。
更には、算数の分野が多岐にわたるようになって拡大します。
そして同時期から、難関中学を希望して受験勉強を始める子供たちがまわりで出てきますから、大人の側の焦り感から、算数の上記の変化を体験している子供たちの現状を理解したり、直視したり、大きな視野で見れずに、大人の側の不安感、焦燥感ばかりが増して行きます。
ここまでの現状を一言でまとめると!
算数の内容量が増えて、複雑になる小学4年生の頃に、周囲の大人や親は、焦燥感と不安感におそわれるという「負のスパイラル現象」が多々起きるということです。
では、そのような時にどうすれば、冷静に、子供たちに接することが出来るでしょうか。長い目で子供たちの算数ひいては数学への取り組みを応援出来るでしょうか。
ヒントは、今回のブログのタイトルにあります。算数にとって大切な学年とは…と、そんなとき御一考ください。
はじめにご紹介した3人は仲良く英語スクールに通い、楽しい小学校生活を過ごして中学生になりました。
けれども3人は全員、小学4年生になったときに家の人に買ってもらった算数ドリルを開けることもなく、真っ白のまま本棚に置いてきぼりにしていたそうです。もちろん小学5年生の時に買ってもらった算数ドリルも、6年生の時に買ってもらった算数ドリルも、「BOOK・OFFに持っていったら高く売れたと思う」と、言うくらい手付かずのままでした。
小学4年生頃から、学校の算数の時間に何を習っているのか、「学校の先生の言っていることが分からなかった」と、回顧していました。
3人が共通して、小学校の算数の授業につまずき、起き上がることの出来なかった三年間を振り返り、立ち返る算数学習を始めるのは途方もない作業に思えました。
目の前にいる3人の生徒たちだけでなく、これまで手の施しようも見付からず、放置状態にしてしまった周囲の大人の方々のお気持ちがとてもよく伝わってまいりました。『何とか助けてあげたい』、そう思いました。
それから数学レッスンの時には、90分レッスンを3分割して
①小学2年生の算数ドリル(完成すれば小学3年生→4年生→5年生へと進めて)
②中1数学の授業進度に合わせた学習
③予習、と、
指導しました。目を見張るような進展は見られませんでしたけれども、つまずいてしまっていた小学2年生からの算数振り返り学習は順調に3年生→4年生→5年生へと進みました。
皆さん真剣に演習に取り組まれましたので、7月には、早くも小学6年生の演習をすらすら解けるようになりました。
けれども中学数学への導入や、理解の幅を広げることは簡単なことではありませんでした。
何かひとつ、中学数学の新しい事を指導する度に、たいてい小学4年生の算数を再び持ち出して復習する必要がありました。それはあるときには気の遠くなるような作業でした。
この経験を通して、算数にとって、ひょっとしたら数学にとっても、大切な学年は小学4年生の頃ではないかと思いました。
また小学4年生の頃に、算数に対して「つまずき感」を感じても、そのときに対処するならば、そこから振り返るのは小学2年生→小学3年生と少しの作業ですみますから、子どもにも大人にも負担は軽くて済みます。
先伸ばしにすればするほど、振り返ることは簡単なことではなくなります。
また小学4年生の頃に、復習と予習の習慣を身に付け始めると、小学6年生の頃には、子供たちは自習の習慣が確立します。それは中学数学の家庭学習に欠かせない習慣です。
このようなことを、これまで親御様や、子供たちにお話しして、小学4年生の子供たちには、早いうちに算数の苦手なところを克服したり、弱いところを強化出来るよう、小学2年生や3年生の演習をおすすめしています。
小学2年生や3年生の子供たちには、冬休みや春休みを使って、一年間の算数範囲すべての問題を「これは解けると思う」から、「分かった!これは解ける!できる!」レベルにあげることを励ましています。
小学5年生と6年生の子供たちには、今日のブログに登場する3人の生徒のお話をよくしています。
小学校高学年の算数は、内容量も多く、むずかしくなっていますから、特に、冬休みや春休みを使って、理解度を充実させるように、ひとりひとりを励ましています。
算数の基礎体力を充分に身に付けることは、人目にはつかない目立たない作業だと思えてなりません。
それは小さな木を植えて、お水をあげて、肥料をあげて、ていねいに、大切に育てて行くことに似ているかも知れません。
木がのびる、葉が出る、花が咲く、実がなるという人目に分かる進歩成長は、学校の算数の成績評価に充たるでしょうか。
すると、学校の学年から、前にさかのぼり、振り返って算数学習をすることは、木が、(人の目に見えない)根のところで大きく強く、確実に成長することに例えられるかも知れません。木の下で根をはる範囲が広ければ広いほど、少々の嵐では倒れない強固な大きな木に見た目も成長して行きます。
もうすぐ冬休みですが、以前の学年の算数問題を一度解いてみて、苦手なところを減らして確実に一歩一歩進める機会にしてみませんか。
お家にある前学年の算数ドリルで残っているページを解いてみるのも良いかも知れません。
きっと算数の基礎体力は着実に上がります。
私Yumiも、冬休みに少しレッスンの枠を増やして、算数・数学の振り返り学習をしてみたいお子様たちの応援をさせていただきます。お気軽に、お問い合わせくださいませ。