生徒の作品紹介

トンガの火山噴火による日本での気圧変化を探そう

まなぶてらすのレッスンの中で,インターネットを使って気象庁の気象データをダウンロードし,トンガの火山噴火に関する学びを行ってみましたので紹介します.

少し前になりますが,トンガの火山噴火についてのニュースを見た人も多いと思います.日本では津波警報が発令され,不安な思いをされた方もいたでしょう.海面の変動のほかにも,日本ではトンガの噴火の影響で気圧の変化も見られました.

そこで,レッスンを担当している小学校中学年の杉本さんに,トンガの火山噴火の話をしました.杉本さんのレッスンは,受験や学校の勉強ではなく,本人の興味に合わせながらテーマを柔軟に決める「理科実験」や「フリートーク」のカテゴリーに当たります.日本から遠く離れたトンガでの火山噴火で,日本の気圧が変わるというのは不思議だねということで,気象庁のホームページ(https://www.jma.go.jp/jma/index.html)から一緒に調べることにしました.

早速,気象庁のホームページにアクセスしてもらって気象データを閲覧し,アドバイスしながら杉本さんが気象データから下のグラフを作りました.こちらは釧路の気圧変化で,確かに21時前に数hPaくらいの気圧変化が見つかりました.

2022年1月15日の釧路での気圧変化(気象庁のデータより杉本さんが作成)

本当だ!ということで,日本の他の地点も調べていきます.例えば,高知県室戸岬です.やはり21時前に同じような気圧変化が見られます.

2022年1月15日の室戸岬での気圧変化(気象庁のデータより杉本さんが作成)

上のグラフのように,他の地点でも気象データを調べると,気圧変化が見られました.遠く離れたトンガと日本,そして地球は,すべてつながっていることが実感できたと思います.

さらに,データを見比べてみると,気圧変化の起こった時間も少しずれているようです.そうすると,比較してみようということで,気圧が一時的に上昇した時間を地図にしてみました.

2022年1月15日に急な気圧上昇があった時間の比較(気象庁のデータより杉本さんが作成)

なるほど,どうも日本列島では南東から北西へ気圧変化が伝わっていったような傾向が見えてきました.下に紹介するウェザーニュースの記事でもより多くのデータで同じ傾向が表現されています.

杉本さんは天気や気象に興味があるので,同じように気象庁のデータから,台風の通過時に気圧がどう変化するかをグラフにしてみたこともあります.このグラフも杉本さんが私のアドバイスを参考に自分で作ったものです.

2019年10月の台風19号通過時の東京の気圧変化(気象庁のデータより杉本さんが作成)

このように,インターネットの発達でこんな学びが可能になってきています.ニュースなどで話題になった現象について,科学的なデータに一般市民もアクセスし,自分で調べたり研究したりすることができます.皆さんも,自分で問いを設定し,調べていくような学びをやってみてはどうでしょうか.

ABOUT ME
うえむら
まなぶてらす講師 うえむら 大学・大学院で地学(地球科学)を専攻し,水循環などを研究する水文学,特に地下水の研究を行いました.そのフィールドは,熊本,大阪,駿河湾,黒部川扇状地,琵琶湖,さらには,南極観測まで参加させてもらいました.その後,13年間,中高教員として地学を中心に指導.現在,児童福祉関係のNPOに勤務しながら,教科書・教材編集やオンライン家庭教師を中心に教育にも関わっています.地球や宇宙,自然一般の話が好きで,受験や定期試験対策以外にも,広く教養や興味関心を育てる指導できればと思っています.